てんかんとは、種々の成因によってもたらされる脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とし、それにさまざまな臨床症状及び検査所見がともなう、とWHO(世界保健機関)により定義されています。

小児では、睡眠時に異常脳波を確認しやすくするため、睡眠時の記録は特に重要です。 
当院では、ペントバルビタール(ラボナ)、トリクロリールシロップをのんでもらいます。

原因

<治療はいつはじまるか?>
初回の発作後、直ちに治療することはせず、発作が1回だけで、以降、再発しない例が多いとされていることから、治療は発作が繰り返す場合に考えています。

<症候性てんかん>
脳に何らかの障害や傷があることに起因するてんかん。例えば、出生前後の仮死状態や低酸素脳症、脳炎、髄膜炎、脳外傷、脳出血などがあげられます。

<特発性てんかん>
原因不明のてんかん

2014年6月1日から道路交通法の一部改正により、一定の病気等に係る運転者対策が強化されたことは周知のことと思います。
運転に支障のある発作をもつ方では治療で発作ゼロが2年経過しないと運転は認められません。では、無発作期間が2年の根拠はどこにあるのでしょうか?医学的には無発作期間が6~12カ月経過した患者の場合、その後の発作再発率が極端に低下するとされています。このため米国や欧州では無発作期間が1年か、それ以下でも免許が認められるのが一般的です。日本での2年という基準は、日本人の慎重さや厳密さが過剰に反映されているだけではないかと思います。無発作期間が長過ぎると、患者は待ちくたびれて治療意欲が低下したり、発作の再発を医師に隠す危険性が高まるとも懸念されています。2012年10月に、日本てんかん学会では「てんかんと運転に関する提言」を出し、無発作期間を1年とすべきと主張しています。

てんかんにみられる精神症状の分類

↓テーブルを左にスクロールできます。

発作周辺期精神症状 発作前:発作前駆症状
発作時:精神発作、非けいれん性てんかん重積状態
発作後:発作後もうろう状態、発作後精神病
など
治療原則は適切な抗てんかん薬投与による発作の抑制
発作間欠期精神症状 精神病性障害、交代性精神病・強制正常化、気分(感情)障害、解離性(転換性)障害、パーソナリティ障害
など
特異的な治療はなく、精神障害一般の治療に準じる
その他 抗てんかん薬による精神症状 抗てんかん薬の中止、変更

(松浦雅人.てんかん研究 2006 より)

治療方法など

分類すると、全般発作と部分発作に大きく分けられますが、100人に1人は発症するといわれている、かつての「不治の病」ではありません。もはや、2010年には、「てんかん治療ガイドライン」が作成されるなど、適切な治療の実践により70-80%以上の方々は、通常の社会生活を送っております。主流は、薬物療法ですが、ご本人および保護者やご家族の皆さまに対しては、精神的、社会面からの援助に努めます。
それでは、気軽にご相談下さい