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症状 特徴
視力障害 ・視力障害に由来する外傷の有無を確認する。 
・視神経、視交叉、視束、外側膝状体、中脳の障害を確認する。
難聴 ・大きな音や突然の音への反応を観察し、脳幹反射の有無を確認する。
振戦 振戦を止めるよう教示する。転換性であれば振戦が粗大になるが、器質的振戦では小さくなる。
失声 ・咳をするように教示し、その際の様子を観察する。
知覚脱失 ・すべての身体部位で生じうるが、手足が最も多い。典型例ではグローブ・ストッキング型。 
・正常部位と障害部位の境界が明瞭で、解剖学的支配領域に一致しない。 
・触覚、痛覚、温覚、固有覚がすべて一律に障害されることが多い。 
・手の場合にはBowlus and Currier test1)が有効なことがある。
麻痺 ・麻痺の出現の仕方が解剖学的に矛盾し、しかも再現性がない。 
・深部腱反射は正常で病的反射も認めない。 
・筋電図、Abductor sign2), Drop test3), SIC test4)が有用なこともある。
疼痛 ・皮膚をつまむだけで激しく痛がるなど不必要に過剰な反応を呈する。
  1. 両腕を前方挙上後、内旋して小指が上になるようにする。腕を交差させ、手掌を合わせ、指を組むようにする。この状態で指先の感覚を左右交互に検査する。母指以外の指は腕と同側、母指は対側に位置するので、転換症状では誤答したり、時間がかかる。
  2. 検者が両側の大腿筋を触った状態で、健側大腿の内転を指示する。転換症状の場合は麻痺側の内転筋にも力がはいる。
  3. 麻痺側の上肢を顔面に落とすと、転換症状では顔に落ちない。
  4. 膝立ち後に自立できる場合は陽性。SIC:spinal injuries center

角田智哉 吉野相英(2016).転換症状と神経症状を診分ける 精神科治療学,31(3),317-321