子どもの躁状態、軽躁状態の特定には、問題が多いです。特に躁状態、軽躁状態の持続期間、そして躁の特徴的な症状―気分の高揚、誇大感のあることの確認は難しいです。子どもの躁状態、軽躁状態の定義と最小持続期間については意見が一致していません。前思春期の子どもの躁状態は大人のものよりも持続期間が短いといわれています。反対に持続期間が長いということも考えられます。前方視的な継時的な躁症状をもつ子どもたちの観察が重要です。

注意欠如・多動症と躁状態、軽躁状態の症状の重なり

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注意欠如・多動症
(attention-deficit/hyperactivity disorder)
躁状態/軽躁状態
(mania/hypomania)
・しゃべりすぎる
(often talks excessively)
・走り回るまたは高い所に登る
(often runs about or climb excessively)
・じっとしていない
(is often “on the go”)
・気が散りやすい
(often easily distracted)
・しゃべり続けようとする切迫感
(pressure to keep talking)
・精神運動焦燥
(psychomotor agitation)
・注意散漫
(distractibility)

児童期の双極性障害は、また、注意欠如・多動症を伴うことが多いといわれています。

猪子香代.児童期の気分障害圏治療の現状と課題 原田誠一(編)
メンタルクリニックでの主要な精神疾患への対応[3] 統合失調症、気分障害 中山書店 223-226

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Akiskal HS,et al.Psychiatr Clin North Am 22:517-534,1999より改変